残月
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たいして客が多かったわけではないが
マンションに帰宅するとドッと疲労が襲い掛かった
眠っている慶次を起こさないよう手早くシャワーを済ませ、
冷蔵庫のミネラルウォーターで喉を潤す
青白い外に目を向けると
通勤する人々のいつもと変わらない景色が流れていた
『慶次と別れろ』
不意に元親の声が蘇り、眉根を寄せる
バーで働いてると客から誘いを受けることもある
だが自分から客に声をかけたのは慶次が初めてだった
自分の嫉妬深く独占欲の強い本質を知っている
故にひとつに固執することが何のメリットももたらさないことをよく理解していた
それでも…慶次を求める感情を押さえつけることが出来ない
残った水を飲み干すと、ペットボトルをゴミ箱へ捨て
慶次の寝室のドアを静かに開いた
『そのキーの部屋には行くな…お前が苦しむ』
ふかすがの言葉を思い出し苦笑した
もう遅い…
ゲームが始まってカードが配られたんだ
もう降りることは出来ない
『手を引かねぇってんなら、死ぬ気で慶次を守れ』
元親は悪い奴ではなさそうだ
本気で慶次を大切に思っている
だが結局過去に何があったのは聞き出せなかった
『政宗に気をつけろ』
政宗のあの隻眼が脳裏から離れない
全身から発する殺気は常軌を逸脱している
アイツは自分に似ている…嫉妬と支配欲に満ちた欲望を
曝け出しているか隠しているかの違いだ
慶次は広いベッドで膝を曲げ、いつものように体を丸くして眠っている
もっと大の字になって眠ればいいのにと思うが、
その様子を可愛らしいと思ってしまう自分を嘲笑した
ノンケだという慶次に自分は何を期待しているのか
触れることを拒まれないので、淡い希望を抱いてしまっている
「なんのメリットがあんのかね…慶ちゃん」
小さい声で呟いて、そっとシーツに散らばる慶次の髪を掬った
損得なく相手を想う気持ちが、ある言葉に思い当たって
佐助は口元を歪めた
「ああ…これって、愛ってやつじゃない?」
喉の奥で笑ったあと、胸が締め付けられるように痛んだ
「参ったな…」
慶次の規則正しい寝息を聞いていたら、その温もりを確かめたくなり
そっと毛布を捲ると体を中へ滑り込ませる
「…ん」
慶次が小さく身じろいだ
「慶ちゃん…触っていい?」
「ん〜…佐助…さん…」
重たそうに瞼をゆっくり開閉しながらこちらを向こうとした慶次を制する
「そのまま、横になってて」
「ん…」
後ろから抱きしめると慶次は大人しく、膝をくの字に曲げたまま背を丸めた
手を伸ばし、胸の小さな突起を指の腹で転がすように擦りながら、
耳たぶに噛り付く
「…んっ…佐助さ…んっ」
慶次の甘ったるい声を聞き、耳の裏を舌先で舐め上げると
ピクッと肩が震えた
「慶ちゃん耳弱いの?」
クスっと小さく笑って、首筋に舌を這わせ
小さな乳首をつまんでいた指を後ろに回す
慶次の尻の肉を割り、中指の先で後孔をゆっくり撫でた
「さっ…佐助さん…」
突然思わぬ場所を触られ、慶次は慌てて肩越しにこちらを見た
「大丈夫…、痛いことはしないから、ね?慶ちゃん」
そう、優しい声音で言ってやると慶次は顔を赤くしながらも大人しく頷く
自分を信頼しきってくれている様子が嬉しくて
出来る限り丹念に固い括約筋を押し解す
慶次が甘い吐息を漏らすようになると、柔らかくなった後孔が
クチュっと指先を誘うようにヒクつき始めた
頃合とみて、慶次の背中に口付けを落とす
「指、入れるね」
慎重に指先を中に埋め込む
何の抵抗もなくズブズブと飲み込まれ、すぐに直腸の内壁がキュウっと
中指に絡まるように吸い付いてきた
「あッ…んんっ…」
「慶ちゃんっ」
ドッと熱が下半身に集まり、自分の陰茎が勃起していくのがわかった
この間覚えた前立腺の位置を探るように指を折り曲げると
慶次の腰が小さく跳ね、熱い内壁が一際うねる様に蠢動する
その動きに、思わずゴクリと生唾を飲んだ
「すごいね、慶ちゃんの中…すごくいやらしいよ」
入り口の少し奥の膨らみを見つけ、指の腹で擦る
「ひッ…っ!あぁ…ん!」
背を反らせ慶次が喘いだ
指を少し引き抜き、二本に増やして再び奥へ差し込むと
溢れてきた腸液がグジュと卑猥な音を立て後孔を濡らした
透明な液体を垂れ流し、二本の指をグッポリと咥え込みながら
ヒクヒクと蠢くピンク色の穴が視覚を刺激する
「ココ…キレイだね」
「佐助さんっ…!」
切なげに目を潤ませて、慶次が体を捩る
指を抜いて一旦体を起こすと慶次を仰向けにし、邪魔な毛布をベットの端に寄せた
慶次の勃起した陰茎が下着を押し上げている
「ふふ…、チンポ勃ちゃったね…食べていい?」
「ぇ…あ、やっ…!」
慶次の制止を無視して下着の上からその形を確かめるように
軽く食み、舌を這わせる
唾液と慶次の先走りで、下着はぐっしょりと漏らしたように色を変えた
「気持ち悪いでしょ?今、脱がせてあげるから」
「えっ!や…ヤダぁ…佐助さ…」
窮屈そうに収まっていたペニスが勢いよく飛び出し、目の前でヒクっと脈打つ
差込み始めた朝の光に照らされ、慶次は耳まで真っ赤にして
勃起した陰茎を隠そうとする
「慶ちゃん、俺…慶ちゃんの口で味わいたいな」
そう言ってわざと慶次の陰茎に顔を寄せ、カリを舌先でつついた
「っ!や…ぁっ!」
透明な先走りを垂れ流していた尿道口から
白濁した精液が少量ピュっと飛び出し、口元にかかる
「あっ!ごッ!ごめん…佐助さん!」
涙目で謝る慶次に、ニヤリと笑いながら舌で精液を舐め取った
「慶ちゃんのザーメン、俺にいっぱい飲ませて」
「…っ!んぁっ!!」
パクっと勃起したペニスを口に含み、裏筋に舌を這わせながら
ズルっと喉奥まで咥える
「ひぅッ!!」
性器の熱を口内で感じながら、ゆっくりと焦らすように吸い上げた
「あ、あ…やっ…」
腰が細かく震えているのがわかった
射精したいのだろう
先端がらジワリと精液が滲み出ている
唇を窄ませながら亀頭をチュウっと強く吸うと慶次は甲高い声を上げ果てた
口内に溜まる精液をゴクリと喉を鳴らして飲み干す
射精が止まらないのか口を離しても
その先端からピュルピュルと精液が放たれ
陰茎を伝い落ち陰のうの下、ピンク色の肉穴をトロトロと濡らしていた
「くっ…」
ズキンと先ほどから痛いほどに勃起した自分のペニスが
下着を押し上げる
誘われるように慶次の後ろの穴に再び指を差し込んだ
(くっそッ…思いっきりブチ込んで中をめちゃくちゃに突きまくりたいッ)
突き上げるような激しい欲求に歯を食いしばったとき、
慶次が緩慢な動きで起き上がった
「なに?慶ちゃん…まだ寝てて」
「俺ばっかり気持ち良くなるのヤダ…佐助さんも…」
そういって、おぼつかない動作で慶次が股間に手を伸ばしてきた
「だッ!ダメだって!俺様はいいからっ」
「なんで?俺も佐助さんを気持ちよくしたい」
欲情に濡れた慶次の目は心臓を抉るほど扇情的で一瞬呼吸が止まる
「慶…次…」
その時ふわり…と、桜の花のような匂いが鼻腔を掠めた
(この甘い香り…)
最初に嗅いだ後に聞いてみたが香水は使っていないという
なら慶次の体臭なのだろうか?
(甘い…)
「佐助さん…」
「ダメ…慶ちゃんが気持ち良ければ俺はそれで満足だから」
慶次を単に欲望の捌け口にはしない
大切にすると決めた
それなのに慶次は誘うように薄っすらと笑みを浮かべる
「じゃ…俺をもっと気持ち良くして…佐助さんので」
「え…」
「佐助さんのが欲しい」
その瞬間、最後に残っていた僅かばかりの理性も砕け散った
慶次をうつ伏せに押し倒し、
腹ばいになったその下に丸めた毛布を挿し込み、腰を上げさせる
ズルっと自分の下着を下ろすと
腹につきそうな勢いの猛々しいペニスが現れた
興奮を抑えきれず、慶次の尻を左右に押し開くとその中心へ亀頭を宛がう
「慶ちゃん、力抜いてて…俺、あんまり余裕ないっ」
「ぁ…さ…すけ、さん…」
慶次のうなじに自分がつけた跡があった
それが消えないように再び強く吸い上げる
「んっ!」
力が抜けたのを見計らい、ズンっと肉棒を後穴に突き入れた
「うぐっ!ああぁーーッ!!」
「ッ!慶次ッ!」
痛いほどに締め付ける慶次を慰めるように、
浅い挿入のまま優しくその腰を撫でてやる
「んっ!うぅ〜ッ!」
「慶ちゃん、大丈夫…痛くしないから、ね?ゆっくり息吐いて」
慶次の中は熱く、腸液でぬめった壁がペニスを包み込むように締め付ける
経験したことのない強い快感にグッと射精を堪えた
「慶ちゃん…」
「う、くぅ…さ…佐助…さん…ッ」
「凄くイイよ慶ちゃんの中…すごく気持ちいいっ」
「ふぅ…っ、うっ…ほ…ホント…に…」
途切れ途切れになりながらも必死で言葉を繋ぎ
自分を想ってくれる慶次にグっと胸に熱いものが込み上げる
「うん、ホント。すごく気持ちいい…。慶ちゃん、痛くない?」
「う…んっ…大丈…夫。もっと…もっと奥に…」
言われるままに固い肉棒をズブズブと奥へ埋め込む
「あ゛!ああぁーーっ」
指の比ではない質量のモノが狭い腸壁を押し広げるように圧迫し
慶次はたまらずシーツに爪を立てた
根元までペニスをおさめると、迫り上がる射精感を抑えきれず
奥に大量の精液を放った
「くっ!慶次、ごめん!もう動くっ」
そういって、射精しながらズルリと勃起したペニスをギリギリまで引き抜くと
ゴプっと結合部から中出しした精液が溢れ出る
それを逆流させるように、再び激しく腰を叩きつけ屹立した肉棒を埋め込んだ
「うあッ!あ、ああッーーッ!!」
「慶次ッ!」
両手で慶次の腰を高く持ち上げ、脚を大きく開かせるとがむしゃらに腰を振った
出しても出しても精液が尽きない
角度をつけ中の前立腺の膨らみを亀頭で擦りつけてやると
一層内壁がうねりながら肉棒に絡み付いてくる
「ひッぃ!あ゛ッ!あぁッ!!佐助…さッ!」
「くぅ…すげぇ…!」
緩急をつけ固く反り返ったペニスを肉穴にぶち込む
「あッ!佐助さんッ!出るッ!!」
慶次が仰け反りながら勢いよく射精した
真っ白なシーツにビュルビュルと精液がほとばしる
「慶次ッ!俺の…俺の慶次ッ!」
叫びながら夢中で慶次を貪るように抱いた