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慶次の背中と胸をゆっくりスポンジでこすり、次いで両腕を丁寧に洗う
「慶ちゃんはノンケって言ってたよね?…じゃこの間来た、お友達はただの友達?」
「ただの…って?」
「こーゆーことする仲じゃないの?」
佐助はおもむろに慶次の股間に泡まみれの手を伸ばし、陰茎を包み込んだ
「ひゃぁ!」
驚いた慶次が素っ頓狂な声を上げて小さく飛び跳ねる
佐助はそれを押さえるように慶次の背中に胸をあて体重を乗せた
「さっ!さっ佐助さっ!」
慌てふためく慶次の耳元で佐助が囁く
「…洗ってあげるって言ったでしょ?おとなしくしてね、慶ちゃん…」
「っ…だっ大丈夫っ!ソコは自分でするからっ」
佐助の手を除こうと伸ばした手を逆に掴まれ
慶次は自分のモノを握らされた
「あっ…!」
そして上から佐助の手が添えられ、ゆっくりと上下にこすり始める
「ねぇ慶ちゃん…いっつもどんな風に慰めてるの?」
「ぁ…や…っ」
佐助は慶次の手を動かしながら、耳たぶを甘かじりし舌でベロンと舐め上げた
「っ…ん!」
プルっと震え、甘い吐息が漏れると同時に手の中のペニスがビクッと質量を増す
佐助は口元の笑みを深くした
「あはっ、慶ちゃんのチンポおっきくなっちゃったね」
楽しげな佐助の声に慶次は顔を真っ赤にして目をつむった
「っ…佐助…さん」
よほど恥ずかしいのか、小動物のように肩が細かく震えている
佐助はせり上がる加虐心を抑えきれず、慶次のうなじに噛み付いた
「…ひぅッ!」
薄紅に染まる首筋に犬歯を立てると、慶次は痛みと快感の混じった声を上げる
「あっ…!うッ…」
歯形を付けジュルっと唇で皮膚を吸い上げると痛々しい紅い鬱血ができた
佐助はそれを満足気に見つめる
「ねぇ慶ちゃん…もう出したいんじゃない?ほら見なよ」
慶次が涙の滲む目をそっと開き股間に視線を落とすと、勃起した陰茎がヒクヒクと反り返っていた
「あっ…も、ヤダっ、佐助さんっ」
慶次はたまらず首を弱々しく振った
「ヤダじゃないでしょ?」
佐助はそう言って、手をずらすと指の腹で
勃起した亀頭をこすり上げた
「あぅッ…あっ…!」
敏感な先端を佐助の手が射精を促すように扱く
「ほら、慶ちゃん、ちゃんと擦って」
佐助に言われるまま
慶次は突き上げる快感に抗えず、自分の肉棒を扱いた
「あッ…ん…!だっ…ダメッ…」
「あ、先っぽから精液漏れてきてるよ」
慶次の内股がピクッと震えてる
「はっ…ッ!あ…佐…助…さ…ッ!」
先端から溢れ出る液をこすりつけ円を描くように親指で愛撫すると
慶次は一層快感に喘ぐ甘い声を上げた
「やッ…佐助さんッ!俺、も…ッ」
限界まで張り詰めた陰茎がビクビク震える
「ホラ、慶ちゃん!思いっきり精液出しなよ」
「あ゛あッ!やッ!出るぅっ…!!」
慶次の腰がビクンと前へ突き上出し、
同時に陰茎の先端から白濁した精液が弧を描きビュルビュルと飛び出た
「あッ!ーーッ!!」
慶次は腰を震わせ射精の快感に喘いだ
佐助は床のタイルに広がる精液を見て微笑んだ
「慶ちゃん溜まってたの?いっぱいでる」
そう言って精液に濡れた指をゆっくり慶次の尻の間に移動し
固い蕾に液を塗り込めるように指先を這わす
思いもよらない所を触れられ慶次は
射精の快感に思考が追いつかないながらも涙目で佐助にうったえた
「さっ佐助さんっ…やっ…何…」
佐助は慶次を安心させるようにニッコリ笑みを浮かべながら囁いた
「慶ちゃんのココ、ヴァージンだよね?」
「ふぇ…?」
慶次が意味を理解する間もなく佐助の中指が精液のヌメリをかりてツプリと中へ差し込まれた
「ひッ…ゃ…!」
慶次はいつの間にか上半身を床に伏せられ、尻を突き出す格好になっていた
侵入してくる異物感に戸惑う
「あッやッ!ヤダ!佐助さんッ!」
佐助は構わず奥へ指を進め、内壁を弄るように指をグルンとかき回す
入り口の少し奥の膨らみを探し当て指先でクイっと押し上げた
瞬間、慶次は今まで感じたことのない電流が駆け抜けるような強い刺激に跳ね上がった
「あ゛ッ!!」
佐助は笑みを深くして指を一旦引き抜き、
中指と人差し指の二本を無理やり中へ突き入れる
「ひッ!」
増す質量に息が止まる
苦しいと感じたのは一瞬でズブリと指を呑み込んでしまうと
再びあの強い快感が体の中から突き上げる
「あッ!ああッ!!」
佐助の指が直腸の中でグチュグチュとうごめく
「分かる?ココが慶ちゃんのイイところ…ね?またイキたい?」
「うぁ…ッ!ああッ!」
さっき大量に出したばかりの陰茎が先ほどより更に大きさと硬さを増してビクビク震えている
先端からはすでにトロトロと精液が垂れ落ちていた
「ふふ…慶ちゃんのチンポ、美味しそうだね。あとでじっくり味わわせてよ」
「ひっ、う゛…!」
佐助に陰茎をくわえわれる、そう想像した途端に後ろの穴がぎゅうっと締まり
再び尿道から精液が飛び散った
「ぁあ゛あ゛…ッ!」
立て続けの強すぎる快感に悲鳴にも似た喘ぎが響く
「慶ちゃん…」
佐助は射精が終わるのを待ち
指を引き抜くと
グッタリした慶次を起こそうした
その時
「うああああーーんッ!!」
絶叫とも言える大声がバスルームに木霊した
「けっ…慶ちゃん!?」
佐助は目を見開て硬直した
「うえええーーんッ!!」
嗚咽しながら涙を文字通り滝のように流す慶次を呆気にとられてみていた佐助だか、ハッと我に返り慶次の肩に触れた
「慶ちゃん!どっか痛いの?!」
テクニックに自信のある佐助は怪我をさせるようなミスはしないつもりだったが、
慶次が突然泣き出したので慌てた
佐助の手が触れると一層火がついたように号泣し
佐助はその場に再び固まった
「ふえっ!ふっ…うあああーっ」
どうもケガの類ではなく自分の存在がマズいらしいと判断し
佐助は慶次を落ち着かせるように
ゆっくり出来るだけ優しい声音で言った
「慶ちゃん…俺リビングにいるから、慶ちゃん落ち着いたらアッチに来て」
「ふっ…うっうう〜」
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにした慶次に言い聞かせる
「いいね?落ち着ついたらリビングに来るんだよ?」
「うっうっ…」
慶次が一応頷いたのを確認し、佐助は風呂の湯でざっと体を流すとバスルームを出た
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佐助はリビングのソファに座り窓の外を見ていた
出勤の人達が早足で通りを過ぎていく
そういや始めてこの部屋に来た時も眺めてたなと、
悠長なことを思ってしまう程に佐助の思考は飛んでいた
(俺様ってば何てことを…)
普段なら何てことだとは思わない
単にヌイてあげただけだ…が、問題は相手が慶次だったことをつい忘れてしまったところだ
(ノンケだって言ったのにッ…)
男にイかされて喜ぶはずがない
それでも気持ち良かったからいいか、なんて即物的に流してくれれば救われるが
佐助は慶次の号泣を思い出し、深いため息を吐いた
(俺様サイテー…)
ほんの少し困らせたいと思っただけなのに、
欲望を抑えきれなかったせいで、何もかも終わりだ
(何もかもって慶次ちゃんと俺はなんでもない)
それでも出会いからこの数日
慶次が佐助の心を占めていたのは事実
それを自分でブチ壊すとは…
何分経ったのか
カチっとリビングのドアが開く音がして
佐助はハっと振り向いた
ラフなルームウェアを着た慶次が俯いて姿を現した
「慶ちゃん…」
「……」
慶次の無言を重く受け止め、佐助はコクっと唾を呑むと静かに息を吐いた
「慶ちゃん、ごめんね」
「…」
「ホントにごめん…俺、もう来ないから。キー、ここに置いとく」
佐助は自業自得とはいえ予想以上に胸が痛んで堪えきれず、慶次の横を通り抜けようとした
すれ違う時にもう一度
「ごめんね…」と謝った
その佐助の謝罪に返答するかのようにギュウうぅぅ〜と腹の音が響く
「へ?」
思わず間抜けた声を上げると
慶次はようやく顔を上げ佐助を見た
「お腹…減った…」
その顔は真っ赤に染まっている
「え…」
「佐助さん、お腹がすいた」
「…で…でも」
「何か作ってくれないかい?」
「え…そっ…それは…いい、けど…慶ちゃん」
佐助は突然の申し出に動揺しながら慶次の顔をジッと見つめた
すると今度は慶次が「ごめん!」と大声で謝ってきた
殴れる覚えはあっても謝まられる覚えはない佐助は慶次の手を引き
二人でソファに座った
「謝るのは俺の方でしょ?」
慶次は唇をきゅっと噛み首をユルユル振った
「違っ…俺、なんだか怖くて…あんな…変な感じ…初めてで」
ポツポツと言葉を繋ぐ慶次の横で佐助はうんうんと頷く
「…自分の体も…気持ちも…分けがわからなくて」
「それって……気持ち良すぎて?」
佐助が確認すると慶次は益々赤くなって頷く
初めて味わう強い快感にパニクったって事ー…そう思い至って佐助の胸が熱くなった
(なっ…何なのこの子)
男としてそれ程良かったと言われるのは誉だ
今更そんな事に感動している自分に驚く
いや相手が慶次だから嬉しいのだと認めざるを得ない事実に戸惑いながも
そんな事より喜びの方が勝り思わず慶次を抱き締めた
「さっ佐助さん?!」
「慶ちゃん…俺、慶ちゃんに嫌われたと思ったよ」
「そっ…そんな事ないよ。ただ…俺、ビックリして…」
その時
再び豪快に腹が鳴り響き二人は顔を見合わせ笑った
「さぁてと、それじゃ何か作りますか」
「おう!」
佐助がキッチンに立ち慶次が食器をテーブルに並べる
冷蔵庫には食材が揃えられていた
以前は調味料以外ロクなものがなかった冷蔵庫
慶次は料理が出来ないからこれらは佐助に作ってもらうこと前提で調達したのだろう
(俺が来るの待ってたんだね…慶ちゃん)
月末で忙しいなんて思わず来れば良かった
「慶ちゃん、何が食べたい?」
「佐助さんの作るものなら何だって食いたいよ!」
慶次の極上の笑顔に
(…全く、この子はどこまで俺様を魅力すれば気が済むわけ?)
と苦笑した