紫苑-回顧-
夜中に一度だけ目が覚めた
首に犬用の首輪が付けられ、床の間の柱に鎖が括り付けられている
体がギシギシ軋むように痛んだが不快感はない
兄が体を拭いてくれたのだろう
座敷を見渡してもその姿がない
ジャラジャラと音を立てる鎖より、傍に兄がいないことが寂しくて仕方なかった
かけてあった毛布を引き寄せ再び横になる
目を閉じるとすぐ眠気に呑み込まれた
「明」
囁くような優しい声に目が覚めた
座敷は薄暗いが外から鳥の鳴き声がするから朝なのだろう
気だるい体を起こすと、学生服姿の兄が立っていた
「おはよう、明」
昨夜の事などなかったような普段通りの態度に、明は困惑しながら口を開く
おはよう、と言おうとして酷く口の中が渇いていることに気付く
明は咳き込んで乾いた唇を舐めた
「…お兄…ちゃん、喉…渇いた…」
やっとかすれた声で告げると、兄は無言で台所の方へ消えた
しばらくして戻ってくると、持ってきたトレーを畳に置く
温かな朝食と水
水の入ったコップに手を伸ばそうとした途端、強い力で髪を引かれた
「ッ!」
見上げると眼鏡の奥に昨夜と同じ冷たい目があった
兄は片手で髪を後ろに引っ張り、もう片方の空いた手でゆっくりファスナーを下ろす
「水が飲みたいなら奉仕しろ」
「…」
兄の低い声に促され、恐々る近づくと股間に手を伸ばし、性器を取り出した
両手で包み込み、舌先で先端を舐める
口に含むと、ペニスがビクッと脈打ち硬さと大きさを増す
喉の奥までグイグイ押し込まれ、乾いた口内が唾液で潤い夢中で肉棒をしゃぶった
出来るだけ舌を動かし口内でギュッとペニスを包み込んで上下に扱く
「っ…あき、ら」
熱っぽく名を呼ぶ声で兄が興奮しているのが解り、一層強く吸い上げた
反り返るほど勃起した性器の先端から先走りが溢れてくる
こんな大きく熱いモノが昨夜自分の中を犯したかと思うと
咥えているだけで下半身が熱くなる
根元を両手で固定し、射精を促すように敏感な先端を唇でキツク包んで
舌先でカリを舐めまわした
「くっ…出すぞッ」
喉奥にズンっと突っ込まれ、熱い精液が注がれた
ドプっと濃い精液を零さないようゴクゴク飲み込む
最後の一滴まで吸い上げ口を離すと、兄は性器をしまい
労うように頭を優しく撫でてくれた
「お前の学校に連絡しておいた。しばらく休め」
「…お兄ちゃん……」
「鎖、だいぶ長くしてあるからトイレも風呂も大丈夫だろう?助けを呼んでもいいが…」
食事の乗ったトレーを差し出される
「全裸で鎖に繋がれてる姿を見られたら俺達はここにいられなくなるな…俺は別に構わないけどな」
そういい残し、裏口から出て行った
首輪は小さな錠がついていて取れない
兄の言うとおり、こんな状態が他人に知れたら噂になってこの商店街にはいられなくなるだろう
兄が何を考えているのか分からなかった
今まで殴られたことも、まして体を求められたこともない
毛布に包まり、ひたすら兄の帰りを待った
臨時休業の紙を張り出しているから、訪れる者もない
数時間も経つと漠然とした不安に襲われ、無理やり目を閉じて眠った
寝たり起きたりを繰り返している内に薄暗かった座敷は再び漆黒の闇に包まれる
『お兄ちゃん…』
何時だろうか?
昨日は夕方には帰ってきたのに、今日は帰りが遅い
このままずっと独りだったらどうしようと、不安がピークに達した時
裏口が開く音がした
起き上がって鎖が伸びるギリギリまで近づくと、兄がバッグを下ろして家に入ってきたところだった
「お兄ちゃん」
声をかけると、兄は駆け寄って体を引き寄せた
「遅くなって悪い。今、晩飯作るから待ってろ」
強く抱きしめられ、唇が重なる
兄の逞しい胸と腕に包まれ、その温かさに自然と涙が滲んだ
「明、好きだよ」
「…どうして…こんな事するの?」
様子を伺いながら疑問を口にした
兄は一瞬真顔になり、フッと薄く微笑むと感情のない口調で呟いた
「好きだからだよ、明」
料理を食べた後、風呂に入った
相変わらず鎖で繋がれているが、だいぶ長いので広範囲で動く事が出来る
風呂から上がると一階に兄の姿がなかった
二階の自室に引き上げてしまったのだろう
再び誰もいない座敷に戻ると、急に寂しさがこみ上げてくる
やっと帰ってきた兄とはほんの二時間ほどしか顔を合わせていない
またあの平すら長い時間が始まるかと思うと泣きたくなった
両親が帰るまで後四日
いつの間に眠っていたのか、寝苦しくて目が覚めた
まだ真夜中のようで、静寂と闇に包まれている
…喉、渇いたな
額に滲む汗を拭う
体がだるくて凄く熱かった
発熱しているのかと思い、起き上がって初めて異変に気づいた
性器が完全に勃起している
な、何で…
ゴクリと唾を飲み込んだ
突き上げるような激しい性欲に、たまらず股間に手を伸ばした
ペニスに触れた瞬間、強い快感が走る
「っ…あ!」
きっ…気持ちいいッ
数回強めに扱くとピュっと精液が迸る
畳に飛び散るのも構わず、夢中で自慰を続けた
「あ゛ッん!うっ…ァ!」
何度射精しても性器が萎えない
それどころか、益々体は敏感になり性欲が増す
「ぁっ…な、なんでぇ…」
内股も精液でドロドロに濡れている
前だけの刺激ではおさまらず、そっと指に自分の吐き出した液を絡め
ヌルヌルのそれを後ろの孔に差し入れてみた
「ひッ…ぃ!」
クプっと中指の先を入れただけで、腰がビクッと跳ね上がり
同時にびゅくびゅくと勢い良く射精した
「あ゛ぁあ〜ッ!」
気持ちよすぎて一瞬意識が遠ざかる
だらしなく唾液を垂らしながら、穴に挿し込んだ指を動かした
不意に気配を感じ横を見ると、兄が柱にもたれながらこちらを見ていた
「ぁ…お兄…ちゃ…」
思わず四つん這いで足元にすがる
兄の手が頬に触れ、ピクンと体が震えた
触れられたところが熱く、異常なほど快感でそれだけでイッてしまいそうなくらい気持ち良い
「お願いっ…!触ってぇ!」
兄の下着をずり下ろし、性器を咥えた
いつから自分の痴態を見ていたのか、兄のペニスは既に完勃ちしていて先走りをタラタラ垂れ流していた
先っぽをチュウチュウ吸い上げ、裏筋に舌を這わせて竿を上下に扱く
「お兄ちゃん、お願い…欲しいよ」
この肉棒で中を滅茶苦茶に突き上げて欲しくて懇願した
「何をどうして欲しいんだ?言ってみろ、明」
兄の整った顔を興奮で彩られている
「兄貴のチンポ、お尻の穴に突き刺してぇっ!」
言い終わらない内に兄に押し倒され、脚を左右に大きく開かされる
膝の裏に自分の腕を入れ支えた
ヌルヌルの穴に熱い肉棒の先端が宛がわれる
「お兄ちゃぁん…早く入れてぇっ」
「だから言っただろう?お前は淫乱だって」
グイっと腰を叩きつけるように一気に太いペニスが突き入れられた
「う゛ッ!ァあ゛あ゛あ゛ッ!!」
肌がぶつかり合う乾いた音と精液や先走りの濡れた音が響く
ギリギリまで引き抜き一気に最奥へぶち込む激しいセックスに射精が止まらない
突き上げられる度に尿道からビュルビュルと白濁した液が飛び散る
「あ゛がッぁ!」
「明ッ」
膝が胸につくほど体を折り曲げられ
ほぼ垂直に後ろの穴に兄のペニスがグチャグチャ卑猥な音を立てて差し込まれている
動くたびに兄が中出しした精液があふれ出し、背中や腹に流れ落ちた
「あ゛ぁッ兄貴ぃ!」
体を激しく揺さぶられ、途切れることのない快感の嵐に
いつの間にか意識を手放していた
食事と睡眠以外のほとんどの時間
兄と体を重ね、昼夜問わず絡み合った
外界と隔離された空間の中で時間の感覚も理性も
何かもが狂っていった
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