契約
「ゆ…幸村」
「何か?」
「本当にするのかい…」
「慶次殿が良いと申されるなら是非に」
見上げると幸村の欲情した目に
引きつった顔の自分がうつっている
明らかに余裕のない幸村の様子が余計不安を煽った
「あ…あのさ、幸」
「…どうされた」
馬乗りになり、複雑な服を脱がすのに四苦八苦している幸村の手が止まる
「分かってると思うけど…俺は男だから、女みたいにはいかないからな?」
「……」
嫌な予感が的中したらしい…幸村は意味がわからないという表情で目を瞬く
「あのさぁ…幸、女は濡れやすいけど男は…」
「はッ!破廉恥なことを申されるなっ!!」
「いや…破廉恥じゃなくて、俺には凄く大切な…」
「ご心配召されるな慶次殿、いざ参るぅぅ〜ッ!!」
幸村が叫んだかと思うと、無理やり俺の服を剥ぎ取って、
袴ごと下帯をずり下ろす
「ちょッ!幸ッ」
露出した下半身が寒い…
慌てて上体を起こすと、幸村も同じく袴の帯と下帯を解いた
「っ…」
幸村の股の中心にそそり立つ立派なモノに思わず目が釘付けになる
「慶次殿ぉぉ!!」
雄叫びと共に両脚をグイっと掴まれ左右に大きく開くと、
幸村は容赦なく腰を突き入れて来ようとした
「なッ!バッ…」
「うおおぉーッ」
固い蕾に凶器のような一物をグイグイと無理やり押し込もうとしている
ピリっと走る痛みに思わず手が出た
「バッ…馬鹿野郎ッ〜!!」
「ぐはあぁッ!!」
幸村は豪快に吹っ飛び、柱にぶつかるとズルズルと畳に落ちた
殴られた頬に手をあてながら、幸村が涙目でこちらを見る
「慶次殿!何をされるか!」
「そりゃこっちの台詞だ!俺を殺す気か!?」
「はーい、そこまで!お二人さん、落ち着きなよ」
一触即発で睨み合う俺たちの間に、軽やかな身のこなしで
天井から忍が降り立つ
「佐助ッ」
「ちょっと旦那〜、俺様の話聞いてたの?駄目じゃない、ちゃんと手順踏まないと」
佐助が呆れ顔で頬をさする幸村を見下ろしている
「おっ、お前の話は破廉恥過ぎて、何も聴けんかったのだ!」
とりあえず服をずり上げながら、主従が騒いでいる横を静かに通り抜けようと襖に手をかける
が、外からつっかえ棒でもしているかのようにビクともしない
「あ〜、慶ちゃん。悪いけど旦那を男にしてもらうまでは、
出すわけにいかないから」
佐助は符のようなものを懐から出しヒラヒラと目の前に泳がす
「俺様が符を切るまで、蹴っても叩いても出られないようになってるからさ」
「だっ!だって幸のやつ…」
佐助に後ろから雁字搦めに捕らえられ、半泣きで抗議する
「悪いけど、もうぶっつけ本番で…慶ちゃんも契約に従って諦めなよ」
数刻前に名をしたためた念書を思い出す
恋話をする度に幸村が破廉恥だと叫ぶので、まさか経験がないのかと冷やかすと
幸村は真っ赤な顔をして悪いか言って俯いてしまった
多少罪悪感を感じ、甲斐へ来た時にその都度宿代わりに城へ泊めるのを条件に
色事のいろはを教えてやってもいいと持ちかけたのだ
止せば良かった…早くも後悔の念が頭の中で渦巻いている
突然、佐助に耳たぶをねっとりと舌で舐められ
ゾクっと痺れるような感覚が体を駆け巡った
「ひゃぁ…ッ!」
「ふふ、慶ちゃん感度いいね」
「む!佐助ずるいぞ!某もっ」
佐助が膝の裏に手を差込み、左右に大きく脚を開く
すかさず幸村が股の間に入り込み、露出した一物をパクリと口に咥えた
「っ!ゆ、幸村っ!!」
「んむむ〜」
生ぬるい口腔の粘膜に包まれ、拙い動きで幸村の舌が性器に絡み付いてくる
「あ!っ…う…んっ!」
下半身にとろけるような快感が広がり、思わず喘ぎ声を漏らす
「そうそう、旦那。口全体で吸い上げるように…先っぽを舌で擦って」
「ああッ!や…!駄目ッ」
幸村は佐助の指示通り、丹念に舌を使って一物を愛撫する
次第にコツを掴んだのか感じる箇所を的確に責められ
勢りあがる射精感に腿が震えた
「あ…っ!ちょ、待って!で…ッ」
「旦那、慶ちゃんもう出るってさ」
幸村は一層深く勃起したモノを咥え込み、睾丸を揉みしだく
佐助の舌が首筋を舐め上げた時、ゾクゾクと快感が性器を突き抜けた
「ひッ!!あ、あッ!!」
腰が跳ね上がり、幸村の熱い口内に包まれたまま精を放った
「あ…っ!!あ…んッ」
陰茎から体中に広がる快感に喘ぎながら幸村を見ると
ゴクゴクと喉を鳴らして精液を飲み干している
それを佐助が制して、幸村の前に手の平を差し出した
「旦那、慶ちゃんの種汁、ちょっと頂戴」
言われるままに幸村は一物から口を離すと
ダラ〜と白濁した液を佐助の手に垂らし落とす
何をするのかと思っていると
濡れた手で後孔を解し始めた
「さ、佐助さッ…」
「解さないとさっきみたいに痛いだけでしょ?」
「っ…そ、そうだけど…」
そうしてる内に、一本、二本と指が増え
滲み出た腸液と混ざって佐助が中を掻き回す度にグチュグチュと淫猥な音が響きだした
「あぁ…佐助…さ…んんッ!!」
「ココ、気持ちいいでしょ?」
指の腹である箇所を押し擦られると、射精とは違う気持ちよさに
無意識に腰を揺らしてしまう
「あぁ!気持ちいいっ…!」
「佐助ッ」
俺の痴態を見て幸村が堪らず声を上げる
「あ〜…、もう限界?」
佐助の言葉にコクリと頷く幸村の一物は腹につく勢いで反り返っていた
佐助の指がクチュと音を立て、引き抜かれると代わりに幸村のモノが宛がわれ
ズブリと亀頭が押し入ってきた
「ひッ!!」
指とは比較にならない、カリの反った大きな亀頭を埋め込まれ
その圧迫感に思わず体が硬直する
「旦那、ゆっくり」
「う…うむ」
幸村が気遣うように腰を支え、角度を定めると
ゆっくりと陰茎を挿入してきた
「あ゛ああぁッ!ゆき…むらぁ!!」
「う…ッ!心地よい!」
射精を堪えるように、幸村が一旦腰を止める
丁度先端が佐助に散々嬲られたイイ箇所に当り
更に強い刺激を求めキュウっと幸村のモノを締め付けてしまう
「う゛っ…幸ぃ〜」
「慶次殿っ…もう歯止めが利かぬッ」
グイっと脚を胸に付くほど押し付けられ、ぐっしょりと濡れた穴に
固い肉棒が深く突き刺さる
「うあ!ああッ!!!」
「慶次殿ぉーッ!!」
幸村の首に腕を回し、激しく揺さぶられながら
今まで感じたことのない強い快感に精を放ち続けた
「ひぃ!幸村ぁーッ!!」
「ッ!俺の子種、受け取って下され!」
ズンっと叩きつけるに腰を打ち付けると、中にドプドプっと熱い精液が注ぎ込まれた
「ありがとうね、風来坊。封は切っておいたから」
颯爽と襖を開け出て行こうとする忍に縋りつく
「ま、待ってッ!」
「何?約束は果たしてもらったから、もう自室に戻っていいよ?」
「腰が、立たないんだよッ!あッ!!幸、もうッダメ!!」
後ろから覆いかぶさる幸村を押しのける力もなく
萎えるどころか、精を放つ度とに大きさを増すその巨根を
されるがままにズブズブと埋め込まれる
「うあ゛ッ!!あああぅッ!!!」
「慶次殿…」
幸村がうっとりとした声で囁く
「放しませんぞ…俺の慶次殿」
「さ、佐助さんッ!!!」
悲痛な叫びはパタンと閉じられた襖に遮られた