群青
仮の住居にしている洞窟から数キロ離れた森の中
木刀がぶつかり合う音が響く
「明!もっと下に重心をおけ!間合いにはいるタイミングを逃すな!」
「くッ」
明の一振りをかわし、篤は真横からすかさず太刀を入れる
寸止めされた篤の刀は明の横腹にピタリと当てられていた
「…明、お前実戦だったら真っ二つだぞ」
篤はそう言って静かに木刀を下ろした
「…ごめん…兄貴」
明はガックリ肩を落す
「下半身に重心がないと次の攻撃に反応できない、腕の力だけで刀を振るな」
「ぅん…わかった」
早朝から訓練を始め、すでに日も高く昇っている
こんなキツイ修行についてこれてるだけで充分なのだが、
篤はついつい身内の明に厳しくしてしまう
兄の期待に応えられない自分に不甲斐なさを感じているのか
明は疲れた体に鞭打って木刀を構える
「兄貴!もう一回相手してくれ」
厳しくしても腐れることなく努力しようとする弟を見て篤は微笑んだ
「…明、もう昼だ。そこの湖で汗を流して昼飯にしよう」
「でも…」
「頑張ればいいってもんじゃないぞ」
篤は荷物の中からタオルを出し、そばの湖へ向かった
兄弟は湖岸の低い枝に脱いだ服をかけ、冷たい水を頭から浴びた
「冷たっ…」
「でもサッパリしていいただろう?」
夏とはいえ山の中の湖は、木々の葉に陰り冷えていた
腰まで水に浸かり、汗を流す
篤は、明のわき腹に薄赤いアザを見つけ無意識に手を伸ばした
中指でそっと鬱血の後をなぞる
「っ…!」
瞬間、明が小さな声を上げピクンと跳ねた
その反応に兄の指が止まる
「す…すまん…」
「え…ぁ…ごめん、ビックリして…」
兄が謝るので明は自分の上げた甲高い声を思い出して急に恥ずかしくなった
「さっきの…止めたつもりだったが、当たってたか…悪い、明」
辛そうに眉根を寄せる篤を見て
明は首を振った
「何で兄貴が謝るんだよ、避けれない俺が悪いだろ」
「…しかし」
篤の言葉を切るように、
明は「メシの支度する」と言って岸に上がろうと背を向けた
里を離れ、修行を始めてまだ2ヶ月
だいぶ筋肉がついてきたといえ、篤にとって明はまだまだ、か弱い存在だった
彼岸島に来て2年、弟の事を想いながらも二度と会うことはないだろうと覚悟していた篤は
目の前の細い背中が幻のように感じ、思わず手を伸ばしていた
「…?兄貴…」
兄に背中から抱きしめられ、明は立ち尽くす
水紋が二人を囲むように揺れた
「明、俺はお前を絶対に死なせはしない」
「!」
明は"死"という言葉に反応してビクンと肩を震わせた
ほんの数ヶ月前までの当たり前な日常が今は遠く感じる
この島では誰がいつ、死んでもおかしくはない
自分も、そして兄の篤も
明は背中に密着した篤の胸の鼓動を感じて
兄が生きているという実感に自然と目頭が熱くなった
溢れる涙を隠すように明は俯いて篤に告げた
「オレは…死んでもいい」
「明っ」
篤はその言葉に驚いて、無理やり明を自分の方に向かせる
俯いて顔を上げないが、泣いているのがわかった
「…明…」
「オレ、兄貴が…」
詰まる言葉を必死に繋げる弟をみつめた
「兄貴が生きてれば…それだけでいい」
明は震える唇をキュッと噛んで、涙を流す
今まで泣くまいと我慢していた感情が堰をきってドッと溢れ出した
「…ぉ…お兄ちゃんっ」
明は甘えるように、篤の胸に顔を埋め、広い背中に腕を回す
「あき…ら…」
篤は明の柔らかい髪を梳くように指を絡め、優しく撫でた
細かく震える華奢な肩を見て、篤の胸がトクンと高鳴る
弟を守りたいという加護欲が、別な感情に変わってゆく
その証拠に下半身に熱が集まるのを感じた
実の弟相手に欲情している事実に篤は戸惑ったが、
気持ちとは反対に体は欲望に忠実だった
「…?…兄…貴」
明は自分の腹の辺りに当たる、兄の性器見て動揺した
「明ッ」
不意に篤の手が明の顎をとらえ、唇が重なる
「あっ…」
兄の舌が口内に入り込み、奥に縮こまっていた舌に絡まった
ヌルっとした生々しい感触に明は目をキツク瞑った
歯茎をなぞる様に舌先が動き、ゾクっと背筋に震えが走る
いつの間にか明も夢中で篤の舌に自分の舌を絡めていた
肉親である兄との口付けに躊躇いはあったが何故か嫌悪感はない
篤の巧みな舌の動きに明の体も反応してた
口内にたまった唾液を篤は躊躇いもなくジュルっと吸い上げる
明の腰が小さく跳ね、兄の背中にしがみ付いた
「っ…あ…兄貴っ」
ようやく深い口付けから解放された頃には、明の性器も完全に勃ちあがっていた
「…明」
篤は明の耳元で囁く
今まで聴いたこともない、兄の低く甘い声に明は涙の滲む目をそっと開いく
体の奥から突き上げるような欲情に、どうしていいかわからず兄を見つめた
「お兄…ちゃ…っ…」
弟の扇情的な顔に篤がゴクリと唾を飲み込んだ
大きな黒い瞳が熱に潤み、薄く開いた口元から透明な唾液が卑猥に垂れている
「明…オレの事、嫌いか?」
篤の問いに明は緩々と首を横にふる
「じゃぁ…好きか?」
コクンと素直に頷く明を再び強く抱きしめた
篤は明を抱え上げ、岸へ上がると、柔らかな草に自分のコートを敷き
その上へ横たえた
「…ぁ」
篤の大きな手が、明のペニスを優しく包む
先ほどの濃厚なキスで、既に先端からは透明な液がプックリと溢れていた
篤はそれを潤滑液に親指の腹で丁寧に先端を擦る
「んっ!…あ…」
痺れるような快感が体を走り、明は甲高い喘ぎ声をあげた
手の中でひときわ大きさを増し、タラタラと尿道から先走りを垂らす弟の性器に
篤は自分の勃起したペニスを擦りつけた
「ッ…明」
手で二本のペニスを包み、上下に扱く
「ひっ…ぁ!あぁ…兄貴っ」
兄の手と硬くそそり立つ性器が直接明のペニスを刺激し
無意識に射精を求め腰を揺らした
「うぁっ…はぁ…あ、ああッ!」
急激にせり上がる射精感に内股が震える
快感を求めて腰を振る明の痴態に、篤も興奮し夢中で腰を動かした
「くっ…あき…ら!」
「あ、あっ兄、貴ッ!ダメッも 出ッ!」
明の腰がビクンと跳ね、背がのけぞる
瞬間、亀頭からビュクビュクッ!と勢い良く白濁した精液が飛び散った
「…っ…!」
篤も同時に精液を吐き出す
「あっ…兄貴ぃっ」
明の腹の上に二人分の精液が水溜りをつくり、わき腹へ流れ落ちる
篤は明の両脚を大きく左右に開かせると、腹に溜まった精液を指に絡ませ
後ろの穴の周りにヌルヌルと塗りたくる
「ひッ!…な、何?兄貴っ」
思いもよらない場所に兄の指が触れ、明は驚いて股間を見た
篤は固いアナルを解すように指の腹でマッサージを続けながら、
片手でイッたばかりの明の性器を刺激する
一度吐精しただけでは収まらないペニスが、篤の手淫で先ほどより
更に硬く反り返った
「あぁッ!あ…あんっ!」
再び高まる快感に戸惑いながらも、明は漏れる喘ぎ声を止めることが出来ない
「んんッ!!」
腰を突き上げるような強い快感に明は目を見開いた
いつの間にか篤の指が穴の奥へ、グリグリと捻り込まれている
「…ここ、気持ちいいのか?明」
篤が再確認するように、腸壁の一点をグイっと指で擦りあげた
「ひッ!ああッ!!」
甲高い甘ったるい嬌声を上げて、明の尻の穴がギュっと締まる
前立腺を刺激され、初めて味わう中からの快感に明は我を忘れて懇願した
「あ!兄貴ッ!ソコ…!そこ、もっとぉ…!」
腰を浮かせて誘う弟見て、篤は指を引き抜いた
「明、もっといいモノをあげるよ」
篤はそういうと、精液で濡れるピンク色の肛門に自分のペニスをあてがった
グイっと腰を突き入れると、ズブりと先端が中に飲み込まれる
「!うッああっ…あ、あ…あッ!!」
多少慣らしたとはいえ、指とは比較にならない質量の肉棒が
狭い入り口を割って押し入る
その圧迫感に明は息を呑んだ
「明っ…もうちょっと、我慢しろ」
篤は細かく痙攣する明の腰を両手でガッチリ固定すると
尚も奥へペニスを挿入した
そして、先ほどみつけた前立腺の膨らみに亀頭を擦りつけるように突き上げた
「ひぃぁっ!あぁ…お、お兄ぃちゃ…!」
快感が下っ腹からペニスに電流のようにかけぬける
明のペニスから我慢出来ずに漏れた精液がピュっと飛び散るのを見て
篤は根元をギュと掴んで、射精を塞き止めた
精管を押さえられビクビクっと脈打つが、篤はかまわず前立腺を擦るように、
激しく抽出を始めた
「あ!ああッ…!」
狭い腸壁に容赦なく勃起したペニスを突き立て
肌を叩く音がパンパンッと響く
篤が明のアナルへ反り勃った肉棒を差し込む度に、
先走りと腸液の透明な液体が噴出し
ぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てた
「ぁッ!明ぁ…お前の中、きゅうきゅう締まって…スゴっ…」
篤は息を荒くしながら一層激しく腰を叩き付けた
中をペニスで突き上げられる快感に明も狂ったように腰を動かした
「ああぁ!!兄貴っ!イッ!…っイキたいよおぉ!!」
篤の手で射精を止められている明のペニスは痛いくらいに膨張している
射精できない辛さで、自然に尻に力が入ってしまい、明は無意識に突き入れられる
篤のペニスを腸壁でギュウっと締め付けた
「くぅッ!あ、明ッ!」
篤も限界を感じ、明の根元を解放すると先端部分を激しく扱いた
「うッあぁッイクっ!お兄ちゃんッ!おにぃっ…ちゃぁ!あ!ああぁッー!!」
溜まっていた精液がビュルビュルッ!と大量に放出する
「ひぃっ!…あぁッ、あっ!ぁっ」
「明!」
篤のペニスが中でビクっと脈打つ
二、三度腰を叩きつけながら、明の中に勢いよく射精した
ドクドクと熱い精液が注がれるのを感じながら、明は意識を手放した
篤は射精の余韻を味わいながら、ゆっくりペニスを引き抜く
コポっと水音をたて、トロトロと中に出した自分の精液が
少し柔らかくなったアナルから零れ出た
その卑猥な器官に欲情するが、気絶した弟にこれ以上の負担は良くないと自分に言い聞かせ、
中に指を差し込んで精液を優しくかき出した
篤は濡れたタオルで丁寧に明の体を拭き、服を着せる
明の髪をかき上げていた篤だが、長い睫が涙で濡れていることに気づき
そっと指先で触れた
(泣かせてしまったな…)
一線を越え、肉体関係を持ってしまった今となっては
もはやただの兄弟に戻るのは不可能だと思った
(明、好きだよ)
篤は、再び髪に指を絡ませながら
横たわる明を静かに見守った